坂本龍馬が愛した港町を、海の上から体感する。仙酔島への渡船「平成いろは丸」から本格周遊クルージング・夕景チャーターまで、福山NOTE編集部が現地取材をもとに徹底解説。陸からでは決して見えない絶景がここにある。

渡船「平成いろは丸」の運航ダイヤ・料金、遊覧船の運航日程・出発時刻は季節・天候によって変動します。
お出かけ前に必ず各公式サイト・電話でご確認ください。
本記事内の変動値には「目安/公式確認を」と明記しています。
鞆の浦クルージングの魅力――なぜ「海から」でなければならないのか
鞆の浦(とものうら)は、広島県福山市に位置する港湾の景観地です。
江戸時代から「潮待ちの港」として栄え、今も常夜燈・雁木(がんぎ)・焚場(たであば)・船番所など、
港湾機能を示す構造物が揃って現存する日本唯一の場所として知られています。
この町の最大の魅力は「海と陸の一体感」です。
陸から眺める鞆の浦も美しいですが、船に乗って海へ出た瞬間、
景色は一変します。石積みの護岸・白壁の蔵・重なり合う屋根と背後の山、
そして常夜燈が整然と並ぶシルエット。陸からでは決して見えない「まち全体の絵」が、
海の上にいる人だけに許された特別な眺めです。
さらに、鞆の浦を起点とした遊覧船コースでは、
海から断崖絶壁にへばりつく阿伏兎観音(磐台寺観音堂)や、
仙酔島の五色岩など、陸路では到達困難な名勝を間近に望めます。
瀬戸内海の穏やかな内海だからこそ、揺れが少なく、小さなお子さんや
乗り物酔いが心配な方にも体験しやすいのも大きな特徴です。
本記事では、鞆の浦で楽しめる3種類の海上体験(渡船・遊覧船・チャーター)を
詳しく解説するとともに、シーズン別の楽しみ方、持ち物、モデルコース、
周辺スポットとの組み合わせ方まで、徹底的にご案内します。
鞆の浦で楽しめる「海からの体験」3種類
鞆の浦で利用できる海上の交通・観光は大きく3種類に分けられます。
まず表で全体像を把握したうえで、それぞれを詳しく見ていきましょう。
| 方法 | 所要時間 | 料金目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 渡船「平成いろは丸」(鞆港↔仙酔島) | 約5分(片道) | 大人往復300円・子ども往復150円(目安、公式確認を) | いろは丸モチーフのレトロ渡船。手軽で家族全員乗れる |
| 遊覧船(鞆港発 周遊コース) | 約30〜50分(コースにより変動) | 大人2,000〜3,000円前後(目安、公式確認を) | 阿伏兎観音・弁天島・仙酔島などを海上から一望 |
| 貸切クルージング・チャーター | 要相談 | 公式確認 | 少人数・グループ・記念日向け。夕景・夜間プランも |
※料金・時刻は変動します。お出かけ前に鞆の浦観光協会や各運航会社の公式情報でご確認ください。
渡船「平成いろは丸」で仙酔島へ――5分の旅に凝縮された絶景
坂本龍馬ゆかりの船名に込められた歴史

鞆港から仙酔島まで、わずか約5分で渡れる「平成いろは丸」。
慶応3年(1867年)4月23日夜、坂本龍馬が乗船していた蒸気船「いろは丸」(大洲藩所有)が
鞆の浦沖で紀州藩の船「明光丸」と衝突・沈没した歴史的事件「いろは丸事件」に由来する名前です。
渡船の船体はいろは丸を意識したレトロなデザインが施されており、
乗るだけで幕末の港町気分が高まります。
乗船時間はわずか5分ながら、船上から鞆港の常夜燈・白壁の蔵・石積みの護岸を
海側から眺められる体験は唯一無二です。陸から眺める鞆の浦と、
海から振り返る鞆の浦では、まるで別の風景のように映ります。
仙酔島に渡った後は、国立公園内の自然を散策したり、
海岸で潮風を感じながら休んだりと、鞆の浦観光のもう一つの顔を楽しめます。
| 渡船名 | 平成いろは丸 |
|---|---|
| 運航区間 | 鞆港(ともなかのはな)〜 仙酔島(せんすいじま) |
| 所要時間 | 約5分(片道) |
| 運航時間 | 概ね7時台〜17時台(季節・時刻は変動。公式確認を) |
| 料金目安 | 大人往復300円・子ども(小学生以下)往復150円(公式確認を) |
| 乗船場所 | 鞆港桟橋(広島県福山市鞆町鞆) |
| 問い合わせ | 鞆町渡船事務所(公式サイト参照) |
渡船の乗り場・アクセス
JR福山駅南口よりトモテツバス「鞆の浦行き」に乗車、
「鞆の浦」バス停で下車すると徒歩すぐです。
バスの所要時間は約30分(交通状況による)。
乗船前後に港周辺の散策も組み込めます。
- JR福山駅南口 → トモテツバス「鞆の浦行き」乗車(約30分)
- 「鞆の浦」バス停下車 → 徒歩すぐで鞆港桟橋へ
- マイカーの場合は鞆の浦周辺の駐車場を利用。休日は早めの到着がおすすめ
- 渡船の最終便時刻を必ず出発前に確認(季節によって変動)
遊覧船・周遊クルージングで海上の名勝を巡る
海から見える「鞆の名勝」たち

鞆の浦の遊覧船コースでは、陸からは到底届かない絶景が次々と現れます。
コースは事業者や季節によって異なりますが、主な見どころは以下の通りです。
阿伏兎観音(磐台寺観音堂)
沼隈半島の先端近く、断崖に朱色の観音堂が張り出す阿伏兎観音(磐台寺観音堂)は、
国の重要文化財に指定されています。
海側から見上げて初めてその壮観さがわかる建物で、
岩壁にへばりつくように建てられた姿は、船上からこそ圧倒的な迫力があります。
安産・子宝の観音様として古くから信仰を集め、
遊覧船コースの「ここだけは外せない」ハイライトの一つです。
弁天島と常夜燈
鞆港に立つ常夜燈(安政6年=1859年建立、高さ約11メートル)は日本有数の石造灯台です。
ユネスコの世界記憶遺産関連資料(朝鮮通信使に関する記録、2015年登録)にも関係する歴史的建造物で、
海から近づくと石造りの重厚感がよく伝わります。
弁天島は鞆港のすぐ沖に浮かぶ小島で、
福禅寺対潮楼から「日東第一形勝(東洋第一の景勝地)」と称えられた眺めの中心にあります。
仙酔島の五色岩
仙酔島の西岸には、赤・青・黄・白・黒の5色の岩が重なる「五色岩」と呼ばれる奇勝があります。
複数の異なる岩石層が露出したもので、その色彩のコントラストは圧巻。
陸からは到達困難なため、クルージングならではの絶景の一つです。
「仙人も酔うほど美しい島」という名の由来にふさわしい景観が広がります。
走島・田島・横島方面
より広域の遊覧コースでは、鞆沖に浮かぶ走島(はしりじま)や
内海町の田島・横島方面まで足を延ばすケースもあります。
瀬戸内海に点在する小さな島々の間を縫うように進む航路は、
まさに「瀬戸内の海」を全身で感じられる体験です。
遊覧船・クルージングの基本情報
鞆の浦周辺の遊覧船・クルージングは複数の事業者が運航しています。
運航ダイヤ・出発時刻・料金は季節・曜日・天候によって変動します。
必ず出発前に公式情報をご確認ください。
| 出発地 | 鞆港(鞆の浦)周辺 |
|---|---|
| 所要時間(目安) | 約30〜50分(コース・事業者により異なる) |
| 料金目安 | 大人2,000〜3,000円前後(コースにより変動。公式確認を) |
| 主な見どころ | 阿伏兎観音・弁天島・仙酔島・常夜燈・鞆港の町並み |
| 運航条件 | 天候・海況により欠航する場合あり |
| 予約 | 事業者により要予約または当日乗船可。公式確認を |
| 問い合わせ | 鞆の浦観光協会(公式サイト参照) |
貸切・チャータークルーズ
少人数・グループ・記念日などには貸切チャーターが便利です。
日没の夕景クルーズや夜間の星空クルーズなど、特別なシーンに合わせた時間帯を選べる場合があります。
料金・プランは事業者によって異なるため、事前に相談・予約することをおすすめします。
誕生日・結婚記念日・プロポーズなど、特別なシーンに鞆の浦の海という演出は格別です。
海から眺める瀬戸内の名所・スポット図鑑
遊覧船コースで出会えるスポットを図鑑でまとめました。各カードから基本情報・地図・詳細ページへアクセスできます。
スポットを比較表で一目チェック
仙酔島・阿伏兎観音・走島・田島横島・龍王山・内海大橋の6スポットを比較表で確認できます。行き方・見どころの違いを把握してから出かけましょう。
📊 一目でわかる比較表
| スポット | 📍 エリア | ジャンル | 詳細 |
|---|---|---|---|
| 仙酔島 | 📍 鞆町 | 🌅 絶景・夕陽 | 下へ ↓ |
| 阿伏兎観音(磐台寺観音堂) | 📍 沼隈町 | 🏯 歴史建造物 | 下へ ↓ |
| 走島 | 📍 走島町 | 🌅 絶景・夕陽 | 下へ ↓ |
| 内海町(田島・横島) | 📍 内海町 | 🌅 絶景・夕陽 | 下へ ↓ |
| 龍王山展望台 | 📍 福山市内 | 📸 写真スポット | 下へ ↓ |
| 内海大橋 | 📍 内海町 | 📸 写真スポット | 下へ ↓ |
各スポットの詳細情報
地図・見どころ・基本情報を1スポットずつ詳しく紹介します。料金・時間は変わることがあるため公式でご確認ください。
仙酔島
仙酔島は、福山市鞆町の沖に浮かぶ瀬戸内海国立公園の島で、鞆港からフェリーでおよそ5分という近さで渡れます。手つかずの自然が残る島内では、海水浴を楽しんだり、独特の景観を生み出す五色岩を眺めたりと、瀬戸内ならではの豊かな自然に触れられるのが魅力。短い船旅で気軽に渡れるため、鞆の浦観光とあわせて訪れる人も多く、町並み散策と島の自然の両方を一度に味わえます。波の音や潮風を感じながらのんびり過ごしたい人、夏の海遊びや自然散策を楽しみたい人におすすめ。日常から離れた島時間を求める旅にぴったりです。フェリーの運航や島内の利用に関する情報は変わることもあるため、訪問前に公式情報で確認しておくと、より安心して島を満喫できます。 鞆の浦の対岸に浮かぶ無人島で、青・赤・黄・白・黒の岩が連なる五色岩などの景観で知られる。鞆公園の一部として1925年(大正14年)に国の名勝に指定され、瀬戸内海国立公園を代表する景勝地のひとつ。仙人が住み酔うほど美しいとの伝説が島名の由来と伝わる。
| 🕒 時間 | 常時開放(見学自由) |
|---|---|
| 💰 料金 | 無料(鞆の浦からの市営渡船は往復大人240円・小人120円) |
| 🚃 アクセス | 鞆の浦から市営渡船で約5分 |
阿伏兎観音(磐台寺観音堂)
阿伏兎観音は、福山市沼隈町能登原にある磐台寺観音堂の通称で、断崖の上に立つ朱塗りの観音堂が印象的なお堂です。国指定の重要文化財であり、戦国大名の毛利輝元によって再建されたと伝わる歴史を持ちます。海に突き出した崖の上という劇的な立地から、古くから航海安全や子授け、安産を祈願する場所として信仰を集めてきました。その美しい景観は安藤広重の浮世絵にも描かれ、瀬戸内を代表する名勝のひとつとして知られています。海と朱色のお堂が織りなす眺めは、訪れる人の心に強く残るはず。歴史や信仰、瀬戸内の景観に興味がある人、静かに祈りを捧げたい人におすすめです。参拝に関する詳細は変わることもあるため、出かける前に公式情報で確認しておくと安心して訪ねられます。 沼隈半島南端・阿伏兎岬の断崖に建つ臨済宗の寺院(磐台寺)。寺伝では寛和2年(986年)に花山法皇が海上安全を祈り十一面観音石像を祀ったのが始まりと伝わる。現在の朱塗りの観音堂は元亀年間(1570〜1573年)に毛利輝元が創建したとされ、国の重要文化財に指定。航海安全・子授け・安産の祈願所として知られる。
| 🕒 時間 | 8:00〜17:00 |
|---|---|
| 💰 料金 | 大人300円 |
| 🚃 アクセス | JR福山駅から車約40分 |
走島
鞆の沖合に浮かぶ走島は、フェリーで渡る有人の離島です。古くから漁業で栄えてきた島で、港にはのどかな漁村の風景が広がり、日常の喧騒を離れたゆったりとした島時間を味わえます。釣りを楽しむ人にも人気があり、瀬戸内の豊かな海を相手に静かなひとときを過ごせるのが魅力。夏には海水浴も楽しめ、透き通る海と穏やかな島の空気が訪れる人を迎えてくれます。フェリーに揺られて向かう道のりそのものが小さな船旅となり、非日常感を高めてくれます。人混みを避けてのんびり過ごしたい人や、島ならではの暮らしや風景にふれたい人におすすめです。フェリーの運航や島内での過ごし方については、出かける前に公式情報で確認しておくと安心です。 広島県福山市の沖合に浮かぶ島で、鞆町に属する。鞆港から走島汽船の船で約25分でアクセスできる。漁業が盛んな島として知られる。
| 🕒 時間 | 常時開放(見学自由) |
|---|---|
| 💰 料金 | 無料 |
| 🚃 アクセス | 鞆港から定期船 |
内海町(田島・横島)
内海大橋によって本土と結ばれた内海町は、田島と横島という二つの島からなる地域です。橋を渡れば車で気軽にアクセスでき、海沿いを走るドライブでは瀬戸内ののどかな多島美を眺めながら開放的な時間を楽しめます。田島東部には三日月形の砂浜が美しいクレセントビーチがあり、海水浴やアウトドアの拠点としても人気です。島ならではのゆったりとした空気が流れ、漁村の風景や穏やかな海辺を巡れば、日常を離れた島旅気分を味わえます。ドライブやサイクリングを楽しみたい人、家族で海辺のレジャーに出かけたい人におすすめのエリアです。季節ごとに表情を変える瀬戸内の景色も見どころ。各施設の利用や海開きの時期などは公式情報でご確認ください。 広島県福山市内海町の田島・横島からなる瀬戸内の島。1989年(平成元年)に本土の沼隈半島と田島を結ぶ内海大橋が開通し、さらに田島と横島は睦橋で結ばれている。横島最高峰の切石山からは瀬戸内海の360度の展望が楽しめる。
| 🕒 時間 | 常時開放(見学自由) |
|---|---|
| 💰 料金 | 無料 |
| 🚃 アクセス | 内海大橋経由で車 |
龍王山展望台
福山市北部にある龍王山展望台は、瀬戸内海のパノラマを見渡せる展望スポットです。高い位置から望む景色は遮るものが少なく、大小の島々が浮かぶ多島美を一度に楽しめるのが大きな魅力です。穏やかな内海に島影が連なる光景は瀬戸内ならではで、訪れる人に開放感を与えてくれます。夕暮れには空と海が刻々と色を変え、印象的な夕景が広がります。初日の出を望むスポットとしても人気が高く、新しい年の始まりを眺めに多くの人が足を運びます。雄大な景色をゆっくり味わいたい人や、写真撮影を楽しみたい人に向いています。日中の明るい多島美から夕景まで、時間帯によって異なる表情を見せてくれるため、時間に余裕をもって訪れるのがおすすめです。 福山市の龍王山にある龍王神社近くの展望台。柵やベンチが整備され、松永湾を中心とした福山市西部の市街地やJFEスチール等の工場夜景を一望できる夜景・工場夜景スポットとして知られる。展望台へは車で直接行けず、西コース(約400m)・東コース(約200m)の山道を徒歩で登る。
| 🕒 時間 | 常時開放(見学自由) |
|---|---|
| 💰 料金 | 無料 |
| 🚃 アクセス | 福山市街から車 |
内海大橋
福山市内海町の内海大橋は、沼隈と田島を結ぶ全長約832メートルの橋です。海上で大きくS字を描く特徴的な形状が知られ、瀬戸内の穏やかな海に橋のラインが映える光景は、ドライブや撮影の名所として親しまれています。橋を渡りながら望む多島の景色は開放感にあふれ、車窓からの眺めそのものが旅の楽しみになります。とりわけ夕暮れどきには、空と海が刻々と色を変えるなかに橋のシルエットが浮かび、印象的な夕景を楽しめます。瀬戸内海ならではの島めぐりや海沿いのドライブを満喫したい人、写真を撮りながらのんびり巡りたい人に向いています。周辺の海水浴場や島の観光地とあわせて訪れると、内海町の魅力をより深く味わえるでしょう。周辺の見どころとあわせて巡れば、より充実したひとときを過ごせるでしょう。 内海大橋は広島県福山市の沼隈半島と沖合いの田島を結ぶ全長832mの道路橋で、1989年(平成元年)10月に開通した。中央部で「くの字」に大きくカーブする独特の線形が特徴で、瀬戸内の多島美に調和する景観をつくる。1989年に全建賞道路部門を受賞した。
| 🕒 時間 | 常時開放(見学自由) |
|---|---|
| 💰 料金 | 無料 |
| 🚃 アクセス | JR福山駅から車約40分 |
「いろは丸事件」と鞆の浦の歴史
坂本龍馬が鞆の浦に残した痕跡

慶応3年(1867年)4月23日夜、大坂から長崎へ向かう坂本龍馬乗船のいろは丸(大洲藩所有)は、
鞆の浦沖で紀州藩船「明光丸」と衝突し沈没しました。
龍馬らは鞆の浦に救助され、当地で紀州藩との賠償談判を行いました。
この「いろは丸事件」は、幕末の歴史の中でも鞆の浦を象徴する出来事となっています。
いろは丸展示館(鞆町)では、事件の経緯・引き揚げ調査の成果・船の構造などが展示されており、
町散策とあわせて訪れる価値があります。渡船「平成いろは丸」の名もここに由来しています。
「潮待ちの港」としての鞆の浦
鞆の浦は古くから「潮待ちの港」として知られてきました。
瀬戸内海の複雑な海流・潮流の影響で、西から東へ向かう船も東から西へ向かう船も、
鞆の浦で潮の流れを待つ必要があったためです。
平安・鎌倉時代から江戸時代にかけて、多くの船が寄港し、港町として大いに栄えました。
江戸時代に整備された雁木(がんぎ)は、満潮・干潮時いずれでも荷揚げできるよう
段差のある石段状の護岸で、鞆の浦には今もその姿が残ります。
焚場(たであば)は船底の貝類・藻を焼き落とすための船のドック的な施設で、
これも全国的に現存例が珍しい貴重な文化遺産です。
重要伝統的建造物群保存地区
鞆の浦の町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
江戸時代の港湾機能を示す構造物が揃って現存する全国唯一の港町として、
国内外の研究者・観光客の注目を集めています。
福禅寺 対潮楼と朝鮮通信使
鞆の浦に建つ福禅寺対潮楼は、江戸時代に朝鮮通信使の宿泊所として使われた建物です。
座敷から眺める弁天島・仙酔島のパノラマは、当時の朝鮮通信使が
「日東第一形勝(東洋第一の景勝地)」と称えた絶景です。
この記録は2015年にユネスコ記憶遺産に登録されています。
映画・アニメのモデル地として
鞆の浦は映画・アニメのロケ地・モデル地としても知られています。
宮崎駿監督が映画制作の構想を練るために滞在した地としても有名で、
その独特の景観は国内外のクリエイターを惹きつけ続けています。
クルージング中に「この景色をどこかで見た」と感じる方も少なくありません。
シーズン別 クルージングの楽しみ方
春(3〜5月):穏やかな海と新緑
春の瀬戸内は比較的穏やかで、クルージング入門に最適な季節です。
気温が上がってくると海風も爽やかになり、船上での観光がとても快適。
仙酔島や周辺島々の新緑を海上から楽しめます。
お花見のついでに鞆の浦へ足を伸ばす計画にも向いています。
ただし、GW期間は混雑するため早めの予約・出発をおすすめします。
夏(6〜8月):夕景・日没クルーズが映える
夏は日照時間が長く、夕景クルーズが特に人気です。
水平線に沈む夕日と常夜燈のシルエットは、写真映えするロマンチックな情景。
仙酔島への渡船でも、夕暮れの海の色は一年で最も美しい時間帯の一つです。
ただし、夏場は日中の日差しが強く、帽子・日焼け止め・飲料の持参が必須です。
熱中症対策を万全にしてお出かけください。
秋(9〜11月):透明度の高い海と紅葉
秋は海の透明度が増し、島々の木々が色づく季節。
船上から眺める仙酔島の森や、沼隈半島の山並みがセピア色に染まっていく様子は格別です。
比較的混雑が少ない時期で、じっくり楽しめます。
天候の急変に備えて薄手の羽織り物を持参しましょう。
冬(12〜2月):澄んだ空気と静寂の港
冬の瀬戸内は意外に穏やかな日が多く、澄んだ空気の中で遠くの島まで見渡せることがあります。
観光客が少ないため、静かな鞆の浦の港と海を独占できる贅沢な季節でもあります。
ただし冬季は運航が縮小・休止となる可能性もあるため、事前確認が必須です。
| シーズン | 魅力 | 注意点 |
|---|---|---|
| 春(3〜5月) | 穏やかな海・新緑・桜 | GWは混雑するため早めの予約を |
| 夏(6〜8月) | 夕景クルーズ・強い光と海の色 | 日差し・熱中症対策必須。人気シーズン |
| 秋(9〜11月) | 透明度・紅葉・空気澄む | 天候急変に注意 |
| 冬(12〜2月) | 静寂・透明な空・空いている | 寒さ・強風対策。運航縮小に要確認 |
天候・酔い対策と持ち物チェックリスト
瀬戸内海は内海のため比較的波が穏やかです。
それでも天候・風向きによっては揺れる場合があります。
快適なクルージングのために事前準備をしっかりしておきましょう。
- 動きやすい服装・滑りにくいシューズ(デッキは濡れている場合あり)
- 帽子・サングラス(日差しが強い。夏は特に必須)
- 日焼け止め(海上は紫外線が強い。SPF50以上推奨)
- 飲料水・塩飴(夏場は熱中症対策に)
- 薄手の羽織り物(海上は陸より風が強いことがある)
- カメラ・スマートフォン(防水ケース推奨)
- 酔い止め薬(乗り物酔いが心配な方は乗船30〜60分前に服用)
- 現金(乗船料が現金のみの場合あり。事前確認を)
- 雨具(天気が変わりやすい時期は折りたたみ傘を)
- 乗り物酔いが心配な方は乗船前30〜60分に市販の酔い止め薬を服用するのが効果的です
- 空腹・食べすぎ状態での乗船は酔いやすくなる場合があります
- 船酔いの症状が出たら、遠くの島・水平線など遠景を見ると楽になることが多いです
- 瀬戸内海は内海のため波は比較的穏やかですが、強風時は揺れる場合があります
子連れ・カップル・シニアそれぞれの楽しみ方
子連れファミリーへのアドバイス
渡船「平成いろは丸」は片道わずか5分のため、
小さなお子さんも乗りやすい海上体験です。
ライフジャケットの着用など安全面については乗船前にスタッフに確認しましょう。
幼児の料金・乗船可否については事業者への事前確認をおすすめします。
仙酔島は手つかずの自然が残り、
海岸での生き物観察・砂浜遊び・散策路が整備されていて、
子どもにとって最高の冒険スポットです。
島内に国民宿舎・食堂もあるため、一泊旅行にも向いています。
カップル・記念日旅行に
鞆の浦の夕景クルーズはロマンチックな雰囲気で人気です。
日没後、常夜燈がオレンジ色に灯るころの鞆港は、
時間が止まったような幻想的な情景を作り出します。
特別なデートや記念日には、貸切チャーターで二人だけの夕景クルーズという選択肢もあります。
事前に事業者へ相談すると、特別な演出を組み込んでもらえる場合があります。
シニア・体力が心配な方へ
瀬戸内海の内海クルージングは揺れが少なく、
足腰への負担も比較的少ない観光体験です。
乗り降りの際は桟橋の段差に気をつけてください。
スタッフのサポートが受けられるか、事前に乗船会社に確認しておくと安心です。
鞆の浦の夕日クルーズ――日本の夕日百選が選んだ海

鞆の浦は「日本の夕日百選」に選ばれた夕日の名所でもあります。
海に沈む夕日と常夜燈・弁天島のシルエットが重なる情景は、
一度見たら忘れられない絶景です。
特に夏至前後の6〜7月は日没時刻が遅く、
夕食前のゴールデンタイムにクルージングを楽しめます。
渡船「平成いろは丸」でも、夕暮れどきの仙酔島行きは特別な体験。
島から鞆の浦を振り返ると、黄金色に染まる港町が目に飛び込んできます。
夕日クルーズ・夕景チャーターについては事業者に事前確認・予約を。
特定の日時・シーズンにしか実施しない場合もあります。
- 日没の約30〜60分前に乗船するのがベストタイミング
- 夏(6〜8月)は日没時刻が遅く、ゆとりを持ってクルージングできる
- カメラのバッテリーは満充電で。夕日は突然始まるため準備を整えておく
- 日没後は急に肌寒くなるため、羽織り物を持参する
- 帰りのバス・車の時間を夕日終了後も余裕を持って計画する
モデルコース:鞆の浦・半日〜1日クルージングプラン
午前発 充実の半日コース(4〜5時間)
| 時間 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 9:30頃 | JR福山駅南口発 トモテツバス乗車 | バス約30分。ICカード使用可 |
| 10:00頃 | 鞆の浦着 → 町並み散策スタート | 常夜燈・福禅寺対潮楼を見学 |
| 11:00頃 | 鞆港から遊覧船または渡船に乗船 | 所要30〜50分または5分(仙酔島の場合) |
| 12:00頃 | 仙酔島上陸(渡船利用の場合) | 五色岩見学・仙酔島散策 |
| 12:30頃 | 渡船で鞆港に戻る | 戻りも乗船時間5分 |
| 13:00頃 | 鞆の浦でランチ | 鯛料理・保命酒・鞆の浦グルメを楽しむ |
| 14:00頃 | いろは丸展示館・歴史民俗資料館見学 | 所要40分〜1時間 |
| 15:00頃 | トモテツバスで福山駅へ | 約30分 |
夕景クルーズ狙いの午後プラン(夏季おすすめ)
夏の夕景を楽しみたい方には、午後14〜15時頃に現地入りし、
夕方17〜18時台の日没クルーズや渡船からの夕景を目当てにするプランがおすすめです。
日没後は鞆の浦の古い町並みがライトアップされる情景も味わえます。
帰りのバスの最終便を必ず確認してから出発しましょう。
| 時間 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 14:00頃 | JR福山駅南口発 | トモテツバス約30分 |
| 14:30頃 | 鞆の浦着 → 歴史散策・カフェ休憩 | 保命酒・対潮楼見学 |
| 17:00頃 | 夕景クルージング乗船または渡船 | 日没前後が一番美しい |
| 18:30頃 | クルーズ終了 → 夕食 | 鯛料理・鞆の浦グルメ |
| 19:30頃 | 帰りのバスで福山駅へ | 最終便時刻を事前確認 |
クルージングと組み合わせたい周辺観光スポット
仙酔島
鞆港から渡船わずか5分で到達できる仙酔島は、
瀬戸内海国立公園の中に位置し、手つかずの自然が残る島です。
五色岩・展望台・江戸風呂・散策路など、ゆっくり半日〜1日かけて楽しめます。
宿泊施設もあるため、日帰りだけでなく一泊コースも選べます。
阿伏兎観音(磐台寺観音堂)
沼隈半島の先端近くの断崖に建つ阿伏兎観音は、
安産・子宝の観音様として信仰されてきた国指定重要文化財です。
海側から見上げる姿は遊覧船コースのハイライトで、
陸路でも車でアクセス可能ですが、海上からの眺めは格別です。
福禅寺 対潮楼
鞆の浦に建つ福禅寺対潮楼の座敷から眺める弁天島・仙酔島のパノラマは、
江戸時代の朝鮮通信使が「日東第一形勝」と称えた絶景です。
遊覧船で眺めた景色と、この座敷から見下ろす景色を見比べるのも旅の醍醐味です。
いろは丸展示館
鞆の浦の港の一角にあるいろは丸展示館では、
幕末の「いろは丸事件」の経緯・沈没した船の引き揚げ調査の成果が展示されています。
所要時間は約30〜40分。渡船「平成いろは丸」の名前の由来となった歴史を深く理解できます。
龍王山展望台
鞆の浦の背後にそびえる山の頂上近くにある龍王山展望台からは、
鞆の浦の港・仙酔島・弁天島・内海の島々を一望できます。
クルージングで海から眺めた景色と、展望台から俯瞰する景色を比較するのもおすすめです。
クルージング後に楽しみたい鞆の浦グルメ・名産品
鯛料理・瀬戸内の魚介
鞆の浦周辺の瀬戸内海は鯛の好漁場。
地元の料理店では、鯛めし・鯛の刺身・塩焼きなどが楽しめます。
海から上がった直後に食べる新鮮な魚介は、クルージングの余韻をいっそう深めてくれます。
旬は春・秋の桜鯛・紅葉鯛シーズンですが、年間を通じて提供されています。
保命酒(ほうめいしゅ)
鞆の浦の名産として知られる保命酒は、
江戸時代から続くみりんベースの薬味酒です。
複数の生薬を漬け込んで作られ、独特の甘みと風味が特徴。
お土産として購入できる醸造元が複数あり、散策の途中に立ち寄る価値があります。
観光鯛網(かんこうたいあみ)
鞆の浦では春(4〜5月頃)に観光鯛網が行われます。
大型の網を使って瀬戸内の鯛を一網打尽にする伝統漁法を船上から間近に見学できる、
クルージングに近い体験です。
実施期間・申し込み方法は鞆の浦観光協会にご確認ください。
鞆の浦クルージング よくある質問(FAQ)
渡船「平成いろは丸」はどれくらいの頻度で運航していますか?
遊覧船は予約が必要ですか?
小さな子ども(幼児)も乗れますか?
乗り物酔いが心配なのですが、大丈夫でしょうか?
駐車場はありますか?
天候が悪い日は運航しますか?
夕景クルーズ・ナイトクルーズはありますか?
クルージングで阿伏兎観音まで行けますか?
ペットを連れて乗船できますか?
乗船料金の支払いはカードでできますか?
観光鯛網はクルージングと同じですか?
海が初めてで不安なのですが、初心者でも楽しめますか?
アクセス・基本情報まとめ
| 鞆の浦へのアクセス | JR福山駅南口 → トモテツバス「鞆の浦行き」約30分 → 「鞆の浦」バス停下車 |
|---|---|
| 鞆港の住所 | 広島県福山市鞆町(鞆港桟橋) |
| 仙酔島渡船 | 平成いろは丸(鞆港↔仙酔島、約5分) |
| 渡船料金目安 | 大人往復300円・子ども往復150円(公式確認を) |
| 遊覧船料金目安 | 大人2,000〜3,000円前後(コース・事業者により変動。公式確認を) |
| 観光情報 | 鞆の浦観光協会(公式サイト参照) |
| 周辺施設 | いろは丸展示館・福禅寺対潮楼・常夜燈・沼名前神社 など |
- 本記事は福山NOTE編集部が公開情報をもとに整理しています(最終確認:2026年6月8日)。
- 料金・運航時間・休業日・交通は変更される場合があります。お出かけ前に各公式サイト・電話でご確認ください。
- 掲載写真はWikimedia Commonsの画像(CCライセンス)を使用しています。
出典・参考情報
・鞆の浦観光協会 公式サイト
・福山市 観光・交流課 公式情報
・国土交通省 国立公園(瀬戸内海国立公園)関連情報
・いろは丸展示館(福山市鞆町)現地情報
・文化庁 重要伝統的建造物群保存地区(鞆の浦)
・ユネスコ記憶遺産 朝鮮通信使に関する記録(2015年)
・Wikimedia Commons(各画像:CCライセンス)